教職員動向

現代教養学科ブログリレー -志摩先生- 出張先の写真を振り返って [2020年09月11日(金)]

現代教養学科の志摩です。

来週あるバルト3国とポーランドについての講演の準備のために、現地の写真を見返していました。毎年、この時期は現地に滞在して研究の時間を過ごしていましたが、今年は、コロナ禍で現地へは行けず、メールで駐日ラトヴィア大使とやりとりをしたりして、来年のことを練っているところです。2021年は、日本がラトヴィアを正式に承認してから100年なのです。

さて、今回の講演では、バルト3国とポーランドをどのような繋がりから紹介したらよいか、と、考えているところです。その中で、昨年、ゼミ生2名が同行した現地調査で訪問したリトアニアを少し紹介しましょう。

まず、紹介したいのは、クライペダというリトアニア唯一の港町です。長らくドイツ語名メーメルと呼ばれていました。13世紀にドイツ騎士団が建設し、その後、プロイセンとなっていた地域にあります。第一次世界大戦後にリトアニアが独立すると、リトアニアの領土となりましたが(1923年)、多数暮らしていたドイツ人住民はドイツ復帰運動をおこし、これを利用して、ナチス・ドイツはこのメーメル地方を軍事占領した。第二次世界大戦後には、再び、リトアニア領となったところです。ドイツ風の街並みが残っています。

 

クライペダの港

 

クライペダの町

 

このクライペダから小さなフェリーに乗船して10分程度で対岸のクルシュ砂洲に到着します。この砂洲は、ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されています。全長98キロメートルの砂洲の中でも、ニダという町は、ドイツ時代から保養地として知られ、ドイツ人の作家トマス・マンの別荘も残されている。並ぶ家は可愛くのんびりした気持ちになる今も保養地です。

 

ニダの家々

 

クルシュ砂洲(ニダからの眺め)

しかし、ここを少し進めば、そこは、ロシアのカリニングラード州です。砂洲上に国境があり、林をうろうろしていて、ロシアに迷い込まないように気をつけなくてはと、少し緊張する場所でもあります。

クルシュ砂洲(遠くに見えるのはロシア領?)

 

クルシュ砂洲の林(実際にどんどん歩いていると方向がわからなくなり、学生と迷子状態)

 

クルシュ砂洲のロシア側のカリニングラード、これは、かつては、プロイセン、そしてドイツ帝国の領土であったケーニヒスベルクという都市でした。ドイツの哲学者カントが一生を過ごした場所として有名ですが、現在は、ロシア領の飛び地リトアニアとポーランドに挟まれた場所となっています。

次に紹介するのが、トラカイ城です。ここは、リトアニアが中世最大の版図を誇っていた時代のリトアニア大公のお気に入りの城でした。初めてここを訪れたのは、1992年、ソ連からリトアニアが独立を回復した直後で、廃墟の修復の基金が集められていたころでした。冬のトラカイ城は、湖が氷、白い氷上に浮かぶ中世の城の風情です。

 

中世の城トラカイ

 

最後に、首都のヴィルニュスを紹介します。リトアニアは、ポーランドと同君連合を組んでいた歴史をもち、カトリック教の信仰の篤い国です。

ヴィルニュスのナポレオンが気に入ったと伝えられる聖アンナ教会のすぐそばに立つ大きな彫像は、ポーランドの愛国詩人アダム・ミツキェ―ヴィッチです。リトアニアに人々にとっても愛国詩人、つまり、当時は、ロシア帝国領となっていたこの地域ですから、国境もなく、現在のベラルーシの人々、ポーランドの人々もこの地域に共住していたのでした。

このあたりをうろうろしていると、境界を超えて移動することが自然であっただろうと納得がいくものです。

バルト3国では、移動の主な手段はバスです。初めてこの地域を訪れたときは、バスや電車は、木のベンチであることを思い出しながら、いまは快適なバスでの移動ですよ。ぜひ、出かけてみてください。多文化の融合を感じることができると思います。

 

バス・ステーション

現代教養学科ブログリレー-丸山先生-オンラインのプロジェクト学習って、楽しいじゃん!(^。^) [2020年08月27日(木)]

オンラインのプロジェクト学習って、楽しいじゃん!(^。^)

 

皆さん、こんにちは。丸山です!

2020年度前期は、オンライン授業が、全国の大学で、一挙に駆け巡りました。しかし、その中で、プロジェクト学習(PBL)を、オンラインで展開した大学のケースは、とても少ないです。

 

そのチャレンジに、「クリエイティブ創発プロジェクト」(通称:クリプロ)は、挑みました!(笑)。

 

 

現代教養学科の学生の参加人数は46名、2年生から4年生まで希望者の参加とし、1年生は、学生の皆さんの負担を考え、募集を書類審査の上、10名に限定しました。

1年生の皆さん、3倍を超える応募があったのに、申し訳ございません。2年次からは希望者は全員参加可能です(笑)。

就活を終えた4年生から、昨年度から再チャレンジの3年生、そして、新しく参加してくださった2年生と1年生を交え、皆さん、個性溢れるメンバーが、オンライン型プロジェクトのクリプロに参画してくださいました!

 

オンライン型のプロジェクト学習を企画設計するにあたって、今年度は、運営事務局を務めてくれる、「まるゼミ」生が、喧々諤々の議論をしてくれました(笑)。

当然のことながら、単純に、オフライン(対面形式)でやっていた内容を、オンラインに切り替えても仕方ないからです!

 

オンラインならではの特性、デジタルソリューションならではの価値を120%発揮するのには、どのようにプログラムに再編すればいいのか?

これは、オンラインとオフラインの価値とは?を見つめ直す絶好の機会(チャンス)です。

参加者のモチベーションと、学びのインプットとアウトプットを、楽しみながら取り組んでもらうのには、どのように、このプロジェクトをデザインすればいいのか?

気づきと問いのツールは、何を使えば効果・効率的なのか?

などなど、プロジェクトの企画設計のフェイズで考えることは、通常の3倍以上ありました。

 

そうなんです!(笑)

この検討プロセスそのものが、じつは、プロジェクト学習の本質に迫る、学びと気づきの連続でした。

改めて、このプロジェクの本質的な目的は、

・新しい価値を想像&創造する!

・企画力を養う!

このシンプルですが、深~い目的を、パートナー企業様にご協力いただいて、「女子大生がつくる女子大生のための新商品企画プロジェクト」を、ものがたりを紡ぐように編みながら、将来、社会人として活躍する際に役立つ『企画の実践』について体験をしながら、学んでいくプロジェクトです。

 

 

新たに、プロジェクトのキャラクターも考えました(笑)。

パートナー企業である春日井製菓様とのミーティングも、もちろん、オンラインです!

目的の共有、意志の疎通、プログラム内容のブラッシュアップ、まさに、コミュニケーションデザインを、社会人のマーケティングのプロフェッショナルの皆さんと、ご一緒できることで、学生の皆さんに、実践の場を実感してもらえたと確信しています!

 

2020年度前期のこのプロジェクトのテーマは、「グミの新商品企画を考える!」に設定しました。

第1回目のプロジェクトは、企画を考える際に重要な「インサイト」について、春日井製菓様から、実際に取り組んでおられるお話をいただきました。

その一部を紹介すると、

インサイトとは、消費者も気づいていない潜在しているニーズであり、そのニーズを刺激することによって「この商品欲しい!使ってみたい!食べてみたい!」などを思わせることができる考え方です。

 

「インサイトとは『心のホットボタン』である!」

その潜在的ニーズを顕在化し刺激することで「『心のホットボタン』を押す」ことができるのです。

 

それを実体験するために、事前学習として、2週間分の自分が食べたお菓子を分析する「お菓子日記」を準備しました。

お菓子ごとに食べた日時やお菓子を選んだ理由などを記していく日記型データ帖です。

まず、その自分のお菓子日記を客観的に分析し、選んだ理由などから何度も出てくる内容や共通項を見つけていきます。

次にグループに分かれて、お菓子日記を共有し、グループ間での共通項や、一見異なるように見えるけれど根本的理由は似ている、といったものをグルーピングしていきます。

最後に、全体に向けてグループで出た意見を情報共有しました。その中には、女子大生ならではのものも多く、どのグループでも同じような共通項があることを発見し、それが、潜在的なニーズである「インサイト」であることに気づかされました。

 

情報交換グループワークの様子

 

第2回目の開催の前には、約1週間をかけて、プロジェクトメンバーで「グミアンケート」を実施し、280名に回答していただきました。

アンケートの結果、学生の皆さんのお菓子を食べる要因は豊富で、グミを食べるタイミングは何かをしている合間にという「ながら派」が多かったことが明らかになりました。また、すでに味を知っているものを選ぶ傾向の「安定リピーター志向」が多いこともわかりました。

 

「クリプロ グミアンケート調査結果」の一部抜粋

 

第2回目のプロジェクトのテーマは、

「インサイトをコンセプトに活用して、新しいグミの新企画コンセプトシートを考えましょう!」です。

 

先述のアンケート調査や、グループディスカッションによって得られた内容と、春日井製菓様から、実際に企業内で活用されている「新商品企画コンセプトシート」をご説明いただき、企画作成の準備に入りました。

 

オンライン型プロジェクトの様子

 

第3回目のプロジェクトは、「とにかくアイデアを考えてみようワークショップ」というテーマで、

 

「とにかく、新しいグミのアイデアを、デジタルボードを使って付箋で出し合う!」です。

 

本来ならリアルの教室のホワイトボードに、実際の付箋を使ってアイデアを出し合うのですが、新型コロナウイルスの影響でオンラインでのリモートプロジェクトとなっているため、デジタルボードプラットフォームを活用して、デジタル上にアイデアを付箋に書き込んで出し合いました。

 

このデジタルボードが、とても楽しくて、メンバーみんなが、ペタペタとアイデアを湧かせ合いながら、貼っていきました。

目標は1人3件で、「あったらいいよね」と思うグミのアイデアを出し合うことだったのですが、いつのまにか、1人10件近くものアイデアが沸き上がっていました(笑)。

このデジタルボードが面白かったからなのか、それとも、みんなが楽しみながらアイデアを考えられたからなのか、味や形、特徴など、ユニークで面白い意見が多く出ました。これも、オンラインならではの効果かもしれません!

デジタルボードは、全部で、あっという間に10ページを超え、各ページにはアイデアの付箋が隙間なく貼られていて、驚きました!(笑)

 

デジタルボードによるアイデア付箋の様子(これが、10ページ以上)

 

そして、いよいよ、第4回目は、全員による新商品企画コンセプトシートの発表プレゼン会です!

この様子は、また、後日、ご報告したいと思います!

 

「オンラインのプロジェクト学習って、楽しいじゃん!(^_^)。」

それが、プロジェクト学習をオンラインで展開した、学生の皆さんの率直な感想です。

いま、高校生の皆さんも、現代教養学科で、ご一緒に、プロジェクトに取り組みませんか?

とっても、楽しいですよ!(笑)

 

私たちは、プロジェクト学習においても、いまだからこそできる新しいことを創ること、それを、私たちのミッションとして、新たなチャレンジを続けます!

#プロジェクト活動#オンライン#受験生へ#まるラボ#クリエイティブ創発プロジェクト

ブログリレー(福田先生)地球を感じる感覚を“アート”で研ぎ澄まそう! [2020年08月21日(金)]

地球を感じる感覚を“アート”で研ぎ澄まそう! ―オラファー・エリアソンという存在―

暦の上では立秋を過ぎましたが厳しい残暑が続く毎日、いかがお過ごしでしょうか?
・・・という紋切り型のご機嫌伺いがつい口をついて出てしまいますね。
浜松では、国内最高気温に並ぶ41.1度が観測されました。
コロナ禍で苦しむ中、熱中症のリスクも加わり、経験のない大変な夏になりました。
扇風機で充分凌げた子供時代は嘘のよう。いまや「冷房をつけましょう」とテレビに呼びかけられる毎日、地球はどうなっているのかと心配になります。

こんなとき思い出したいのが、アイスランド系デンマーク人アーティスト、オラファー・エリアソン。コペンハーゲンとアイスランドで生まれ育ち、1995年にベルリンに渡り、スタジオ・オラファー・エリアソンを設立、メンバーは建築家・科学者・技術者・料理人など100名を超える専門家で構成されており、ジャンルを超えて様々な議論を展開しながら作品制作を行っているそうです。現在はベルリンとコペンハーゲンを拠点に、世界で活躍し評価を得ている注目の芸術家です。

https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/olafur-eliasson/

彼のアートの根幹には、地球や自然に対する問題意識が常に存在し、人々にそれらを投げかけています。光や水、氷などの自然現象を用いたアートを通して、人々が見る・触れる、あるいは参加する(=作品になる)など、実際に知覚することで、自分という一個の存在が地球とつながり、社会とつながっていることを想像し、考えてもらうという作品を多く生み出しています。彼は「アートはプラットフォームのような場所」と表現するように、ただ作品を鑑賞し、頭だけで分かろうとするのではなく、意見を言い合い、対話をかわし、尊重し合う場所がアートであると表現しています(後述「日曜美術館」)。

彼の名を一躍有名にしたインスタレーション(室内外に作品を設置して空間全体を作品化したもの)は、2003年にロンドンのテート・モダンで発表した『ウェザー・プロジェクト』と名付けられた、巨大な人工の太陽を頭上に出現させたものでした。降り注ぐ光の下には多くの人々が集まり、様々な反応を示しながら思い思いの格好で時を過ごしていました。2008年にはニューヨーク市を巻き込んで、イースト川に4つの巨大な人工の滝を出現させた『パブリックアート・プロジェクト』を展開。制作費は日本円にして約17億円だそうですが75億円超の経済効果があったとされ、170万人が時間とともに変化する自然やまちの姿を見つめ直す体験をしました。

環境問題について、私たちは新聞やニュースの報道で様々なことを見聞きしています。しかし、実感として状況が把握できておらず、なかなか行動に移せないという現実があります。卑近な例を挙げれば、レジ袋が有料化されたことで、やっとエコバッグを持つようになったという方が多いのではないでしょうか。
全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)のホームページに掲載されている「IPCC第5次評価報告書」には以下のような報告があります。

https://www.jccca.org/ipcc/ar5/wg1.html

これらの報告から、大変な状況にあることは充分に分かるのですが、データが何を意味するのかを考え、行動に移せるかどうかが問題です。

以下の写真は、東京都現代美術館がYouTubeで公開しているオラファー・エリアソンのスペシャルトークの一場面です。COP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議、2015年)開催中のパリの街なかに12個の氷塊を並べた『アイス・ウォッチ』という作品についてエリアソン自身が説明しています。グリーンランドの氷河が溶けて海に漂流していたものを引き揚げ、イルサリットから船で運んだそうです。2019年にはロンドンでも展示されました。これには大きな衝撃を受けました。

東京都現代美術館 講演会 オラファー・エリアソン「アートをエコロジーの視点で見直すこと」(2019)より 2020年8月19日閲覧

NHK Eテレ「オラファー・エリアソン ひとりが気づく、世界が変わる」(「日曜美術館」2020年4月26日/再放送8月16日)で紹介された『アイス・ウォッチ』の映像では、人々は展示してある氷塊に近づき、まずは手で触り、顔を近づけて頬を押しつけたり、穴にたまった水に手を浸したりして、肌で感じながら氷と対話しているようにも見えました。溶け出して二度ともとには戻らない氷塊を眼前に突きつけられ、さらに自分の手で触れることで、グリーンランドのみならず地球上で起きている危機をまさに実感していたに違いありません。
数字やグラフでは感じ取れない、目には見えないものをアートによって知覚し、一人一人が地球の一部としてつながっていることを感じ、どうすべきかを考えてほしいという願いを込め、人の気持ちを揺さぶる力を持つのがエリアソンのアートなのです。

日本では、オラファー・エリアソンの個展が2005年には原美術館(東京)で、2009年から2010年にかけては金沢21世紀美術館(石川)で開催され、それぞれの美術館には現在でも常設展示が公開されています。
金沢21世紀美術館の入り口付近でまず目にする、3色のカラフルなガラスが交差しながら円形状になった彫刻『カラー・アクティヴィティ・ハウス』の作者と言えば分かる方もいるかもしれません。瀬戸内国際芸術祭(豊島、犬島)や横浜トリエンナーレなどにも出品しています。

その注目のオラファー・エリアソンの個展『ときに川は橋となる』が今、東京都現代美術館で開催されています! 3月には来日して講演会やレクチャーなどが予定されていましたがコロナ禍で中止になり、展覧会も延期されました。その代わり、リモートでのスペシャルトークが企画され、先ほど紹介したとおりYouTubeで配信されています。

https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/olafur-eliasson/

以下は、東京都現代美術館のホームページに紹介されている、エリアソン本人による展覧会についてのメッセージです。

〈ときに川は橋となる〉というのは、まだ明確になっていないことや目に見えないものが、たしかに見えるようになるという物事の見方の根本的なシフトを意味しています。地球環境の急激かつ不可逆的な変化に直面している私たちは、今すぐ、生きるためのシステムをデザインし直し、未来を再設計しなくてはなりません。そのためには、あらゆるものに対する私たちの眼差しを根本的に再考する必要があります。私たちはこれまでずっと、過去に基づいて現在を構築してきました。私たちは今、未来が求めるものにしたがって現在を形づくらなければなりません。伝統的な進歩史観を考え直すためのきっかけになること、それがこうした視点のシフトの可能性なのです。

展覧会では17の作品が展示され、太陽光などの再生可能エネルギーや気候変動などを意識した作品を軸に据え、サステナブルな世界の実現を願う彼の思想を打ち出した展示になっています。彼が20年間撮り続けたアイスランドの写真をbefore・afterで並べた『溶ける氷河のシリーズ 1999/2019』(2019)は、衝撃的です。一方で、ソーラーパネルからエネルギーを取り込んで煌めく多面体に仕上げた『太陽の中心への探査』(2017年)は、様々な色のガラスを通して周囲に美しく輝く光を放っています。
東京都現代美術館のホームページには写真とともに作品の見どころが紹介されているので、ぜひご覧ください。

もう一つ、3年前に劇場公開された、エリアソンの制作過程や制作風景を撮影したドキュメンタリー映画『オラファー・エリアソン 視覚と知覚』(2017)が以下の映画館で再上映されるようです。DVDが販売されていますが、大画面で見られるチャンスです!

*アップリンク渋谷  2020年8月21日(金)~27日(木)
*アップリンク吉祥寺 2020年8月28日(金)~9月3日(木)

「美術手帖」2020年6月号にも「オラファー・エリアソン アートで描くサステナブルな世界」と題して、公開中の個展の記事やオンライン・インタビューの内容が掲載されています。この雑誌は現代教養学科のリソースルームにも設置しています。

映画『オラファー・エリアソン視覚と知覚』DVD

美術手帖 2020年 06月号

こうして見てくると、もはや“現代美術”は鑑賞して楽しむだけのものではなく、人間や社会、経済、環境、あらゆる要素を取り込んだ学問分野になっていることが分かります。
ベルリンのスタジオ・オラファー・エリアソンが様々な分野の専門家集団で成り立っていることも、それを物語っています。そもそも学問はすべてに通じているものです。
リベラル・アーツをうたう現代教養学科としては、文化の一ジャンルとしての美術から、ますます目が離せなくなりそうです。

(福田淳子)

現代教養学科ブログリレー フフバートル:多民族・多宗教・多言語国家インドの言語問題 [2020年07月31日(金)]

「ことばと社会(現代)」という授業に外部講師としてインド出身の言語学者プラシャント・パルデシ国立国語研究所教授をお招きしました。インド社会の民族や言語の多様な状況について本国ご出身の専門家に日本語で講義をしていただくのはたいへん貴重な機会です。講義のテーマは「多民族・多宗教・多言語国家インド―多様性の中の統一性―」でした。プラシャント先生はまず導入として、インドという国の特色を次のスライドのようにまとめ、インドの歴史、文化、宗教、社会についてたいへんわかりやすく説明してくださいました。

その中でも私にとってもっとも印象的だったなのは、インドは「世界でもっとも人口の多い民主主義の国家である」ということでした。それは先生の本国に対する誇りでもあるように思われました。実際、インドでは5年に一回総選挙が実施されるが、クーデターなど大きな動乱が起こるようなことはないそうです。インド共和国は、アメリカ合衆国と同様、連邦制をとっているため、州政府は相当の権力をもちます。のちほど詳しく見るように、インドの州は言語と文化によって境界線が決められ、2020年6月現在、インド共和国は、28の州、9つの連邦直轄領、およびデリー首都圏から構成されています。「2020年6月現在」と言ったのは、インドでは州は境界線の変動が多く、最近数年の情勢を見る限り、州の合併よりも分離が多いようです。

また、インドの歴史でおもしろいのは、イギリスがインドを約400年間植民地にした当初は、565の国の王様と戦って統一したが、1945年にインドから撤退する2ヶ月前に、この国を565の王様に返すから、これからどうするのか565の王様と交渉して決めなさいと言ったそうで、選択肢は①インドという国を作る、②イスラム教に基づくパキスタンという国を作る、③それぞれが独立した565の国を作るでしたが、インド独立の父ガンディーはインドとパキスタンに分離することを最後まで反対しました。しかし、マジョリティであるヒンズー教による迫害を恐れたイスラム教徒がパキスタンという国を作ったため、インドとパキスタンのどちらにつくか迷い、動揺した王様たちの国は二日間だけパキスタン側にあったなど、インドのあっちこっちにパキスタンがあった時期もあったそうです。このような歴史は今ではインドでも若者たちが知らなくなっているようです。

そして、いよいよインドの言語の話です。インドには100以上の言語があることは知られています。そして、一般的に言語の数が多ければ多いほど母語話者が少ない言語が多いことも知られています。ところが、驚くのは、世界で大言語を20選べばその半分以上をインドの諸言語が占めるということです。母語話者が5億2000万人のヒンディー語はおいでおき、話者人口9700万人のベンガル語ですらヨーロッパでは類をみない大言語です。そして、ヒンディー語の母語話者は世界一と考えることも可能でしょう。というのは、いわゆる13億の話し手がいる「中国語」とは相互理解がほとんどできない七つの大方言(言語)からなり、その中でも「共通語」の基礎方言となる北方方言の母語話者の割合は低いです。インドでは約8割の人は映画を見るなどでヒンディー語が理解できるようですが、中国では約10年前の統計で、漢民族の中でも共通語にあたる「普通話」(プートゥンホァー)が理解できる人は人口の半分に及ばないということでした。

さきほど、インド共和国は行政区域の構成がアメリカ合衆国によく似ているという話がありましたが、アメリカの州の境は言語や文化と何の関係もありません。しかし、インドは場合は、州の境界線が言語や文化の境界線で、州名が言語名からなっているということなので、「県境」が方言の境であったことはほかの国にも昔はあったでしょうが、州名が言語名からなるというのは世界的に見てたいへん珍しいようです。

ところが、われわれの「ことばと社会(現代)」という科目では、「国語」をめぐって、日本の「国語」「標準語」をはじめ、「中国語圏」「朝鮮語圏」「モンゴル語圏」のような国境を跨った言語圏について、国家、民族、言語の視点から言語政策や言語法などを引き合いに、公用語や共通語の問題を考えてきたので、インドについても国語や公用語、共通語の問題が関心の的となるのです。

では、100以上の言語をかかえる多民族・多宗教・多言語国家インドには「国語」はあるのでしょうか、「公用語」はどうなっているのでしょうか。また、「共通語」は設けているのでしょうか。ちなみに、多民族、多言語国家として知られるロシア連邦には「国家語」(国語)が、そして、中華人民共和国では「共通語」と「公用語」が言語法によって定められています。

インドでは、憲法の第343条に「インドにおける連邦政府レベルでの唯一の公用語はデーヴァナーガリー表記のヒンディー語である」と定めれているということで、英語は「準公用語」と指定されているそうです。ヒンディー語は北インドを中心に話され、話者がインド総人口の約40%を占めるている大言語で、母語話者が約5億2000万人であるため、連邦政府はヒンディー語を推し進め、また、ヒンディー語の映画の人気により、現時点ではヒンディー語圏以外でもヒンディー語が通じ、日常的に使われています。そして、ヒンディー語圏以外では、各州の州政府がそれぞれの裁量で、州の行政と教育用言語として1つ以上の州公用語を決めることが認められているため、インド国内では、各州の州政府によって多数の言語が州公用語として制定されています。

一方、インド憲法の第8付則に22の言語が列挙され、Scheduled languages「指定言語」と呼ばれています。これにはヒンディー語も含まれ、これらの言語は決して「インドの公用語」ではないですが、政府から予算が出る言語で、予算はそれらの言語による国会でのヒンディー語や英語との通訳、メディア、出版物、教育などに使われます。

共通語に関しては、インドは中国の場合とは違って、一貫して言語の多様性を重んじ、あえて共通語を作らない方針であるが、それは言語の選択はあくまでも個人の自由であると考えているからです。メディアや映画などの娯楽も各州の言語に加え、ヒンディー語と英語で行われています。

最後になりますが、インドで教育は、3言語(母語・州の言語、ヒンディー語、英語)で行われるのが必須で、もし、ヒンディー語が母語の場合は別の言語を学びます。最近はグローバル化が進み、学校に行っていれば、英語に力を入れ、逆に州の言語が教育の現場から消える現象が見られ、高等教育になるとだいたい英語に切り替えられることが多く、特に自然科学の分野はほぼ英語で教育が行われています。そのため、残念ながら、英語の地位がほかの言語よりますます高くなっていますが、ほかの外国語を選択して学ぶこともできます。しかし、全国的に活躍したいなら英語を上手に話せなければならず、今や6-7割の親が子供に幼稚園の段階から英語を学ばせています。

(ここで使われたインドに関するデータや情報は基本的にプラシャント・パルデシ先生の講義の資料によるものです)

 

現代教養学科ブログリレー 池田:国会図書館デジタルコレクションの紹介其の2 [2020年07月24日(金)]

与謝野晶子の声を聴いてみませんか?

-国立国会図書館デジタルコレクション:歴史的音源-

過日、「国立国会図書館デジタルコレクション」の中の「日本占領関係資料」を紹介したのですが、この度はその第二弾として「歴史的音源」を紹介します。

この「歴史的音源」では、1900年初頭から1950年頃までに国内で製造されたSP盤、金属原盤等に収録された音楽や演説等の音源をデジタル化したもの5万点が収録されています。

 

目立たないのですが、の先が「歴史的音源」です。

 

与謝野晶子は近代歌壇を代表とする歌人で、歌集『みだれ髪』を刊行、日露戦争に出征した弟を思う詩「君死にたまふことなかれ」などで知られていますね。

 

「与謝野晶子」で検索してみます。

 

この「歴史的音源」の検索ボックスに「与謝野晶子」と入れて検索すると、次のように出てきます。

 

この印が「インターネット公開」です。

 

この「歴史的音源」ですが、残念ながら全てのデータを聴くことができるわけではありません。公開範囲が「インターネット公開」「図書館送信資料」「国立国会図書館限定」とあり、「インターネット公開」となっているものだけが自宅等で聴くことができます。

 

この度は、幾つかある中の『自作短歌朗読』を選んで聴いてみました。短歌の素晴らしさはさることながら、与謝野晶子はユーチューバーの先駆けだと思いました。自分で作った短歌を、多くの人に届けることができるようにレコードに記録して、利益を得ていたわけですから!個人的にはこれから続くであろう暑い夏の夜に、一人で聴くと涼しさが少し増すようにも思いました。

 

他にも大隈重信や犬養毅といった歴史的人物の演説、敵機爆音集などがあり、なかなか面白い体験をすることができます。このコロナ禍によって、国立国会図書館への入館にはまだ制限がありますが、終息の暁には「国立国会図書館限定」の音源も聴いてみたいものです。

 

池田美千絵

現代教養学科ブログリレー(小川):卒業論文での雑誌研究のススメ [2020年07月17日(金)]

みなさん、こんにちは。現代教養学科教員の小川豊武です。7月も下旬が近づき、教員・学生にとって初めての経験であった全面オンライン形式による前期授業期間が間もなく終了します。例年、この時期になると、4年生のみなさんは徐々に就職活動に目処をつけ、卒業論文の執筆を本格化させていきます。昭和女子大学では4年生の学びの集大成として、卒業論文、卒業研究の制作が必修となっており、卒業要件の単位を取得していることはもちろん、この卒業論文を完成させて合格をもらうことで、晴れて「学士」の学位を取得して卒業することができます。

私の担当する「マス・コミュニケーション論ゼミ」はその名の通り、テレビ・新聞・雑誌といったマスメディアと社会とのかかわりについて、社会学・メディア研究の観点から探求しています。毎回のゼミでは、学術論文を丁寧に読み込んで行くトレーニングに加えて、マスメディアを対象にした実地調査を通して、メディアの卒論を執筆するための具体的な調査方法や分析方法についても学んでいきます。昨年度の3年生(今年度の4年生)のゼミ生のみなさんは、3つのグループに分かれてそれぞれ、「若者のテレビ離れは本当か」「おひとりさま文化の実態」「大学生の結婚観の男女比較」といったテーマを設けて、アンケート調査を企画して実施しました。

さて、先述したように、こうしたゼミ活動を経て、4年生のこの時期になるといよいよ卒業論文の執筆を本格化させていくことになります。ゼミ生のみなさんの卒論テーマは様々ですが、毎年一定数の学生が「雑誌」を分析対象に取り上げます。中でも多いのが「ファッション誌」に関する研究です。昨年の春に卒業したゼミ生の先輩は、女性ファッション誌の『sweet』を対象に卒業論文を執筆しました。

近年、雑誌は冬の時代にみまわれています。インターネットの普及などにより人々の情報行動が大きく変化したことなどから、多くの雑誌が売れなくなり廃刊や休刊に追い込まれています。そのような中で『sweet』は2000年代に100万部売れていた頃よりかは減少しましたが、現在でも毎号十数万部を発行し、一定の支持を集め続けているのはなぜか。これが卒業生の先輩の卒論の問題関心でした。先輩は2009年から2019年の10年間に発行された『sweet』の記事分析だけでも大変なのに、さらには『sweet』の読者へのインタビューまで行って、この問いに対して自分なりの解答を出しました。

このように、卒業論文でもしばしばテーマになる雑誌というメディアは、これまで社会学的なメディア研究の分野で精力的に研究されてきました。試みに2015年以降に発刊された雑誌研究の書籍をピックアップしてみましょう(下図)。そこで扱われている雑誌は、総合誌(週刊誌・月刊誌など)、女性誌、男性誌、趣味・娯楽誌など多種多様です。ちなみに、私も『東京カレンダー』『東京ウォーカー』といったいわゆる都市情報誌について考察したエッセイを、昭和女子大学の紀要『学苑』に寄稿しているので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。(※「分断された都市の中の 「階層最適化されたリアリティー」」)

表 近年の社会学的な雑誌研究

 

スマートフォンやSNS全盛の時代において、若いみなさんからするとふだん雑誌なんてまったく読んでいないという人もたくさんいると思います。そのような流れを受けて、上で述べたように、近年、雑誌の廃刊ラッシュは進む一方です。にもかかわらず、雑誌というメディアはなぜ、社会学的なメディア研究の重要な対象であり続けているのでしょうか。

それにはいろいろな理由がありますが、最も重要なことの1つは、雑誌というメディアは「ある時代の特徴の反映」として読み解くことができるという点です。『sweet』のようなファッション誌であれ、『東京カレンダー』のような都市情報誌であれ、雑誌にはあるコンセプトに基づいた情報が選択・編集され、配置されています。『sweet』であれば、「28歳、一生“女の子”宣言!」というコンセプトに即した、モデル、洋服、コスメなどの情報が選択・編集され配置されています。『東京カレンダー』であれば、「アッパーミドル層の東京リアルライフ」といったコンセプトに即した、モデル、東京のスポット、グルメなどの情報が選択・編集され配置されています。そしてこのようなあるコンセプトに即した情報の配置は、ひとつのまとまった「世界観」を形成します。

この「世界観」は、その雑誌を読んでいる人たちが、読みたいこと、見たいこと、知りたいことで構成されています。これはいわば雑誌読者の「欲望の体系」と言えます。『sweet』を開けば、そのメインターゲットとされている「28歳」前後の女性が読みたいこと、見たいこと、知りたいことが体系だって配置されています。『東京カレンダー』を開けば、そのメインターゲットとされている「アッパーミドル層」が読みたいこと、見たいこと、知りたいことが体系だって配置されています。そして、このような人々の欲望は時の流れとともに大きく移り変わっていきます。このように、雑誌というメディアは、「時と共に移り変わっていく人々の欲望の体系を明らかにできる」という点から、「ある時代の特徴の反映」として読み解くことができるのです。

しかしながら、上で述べたように、近年は雑誌にとって冬の時代となっており、廃刊・休刊ラッシュが続いています。この流れは、新型コロナウイルスの影響でよりいっそう加速しています。コロナによるソーシャル・ディスタンシングに象徴されるような新しい生活様式は、人々に対面状況で人と会うことを控えることを要請します。対面状況で人と会う機会が減るということは、それだけ、ファッションを意識する機会や、グルメスポットに行く機会が減ることを意味します。マスコミではファッション業界や飲食業界の苦境について頻繁に報じていますが、それはそれらの業界の情報を選択・編集している雑誌というメディアの苦境にも直結します。

これは単に「雑誌というメディアの衰退」だけで済む事態ではありません。雑誌というメディアの衰退はすなわち、人々の日々の消費を中心とした生活から「欲望の体系」が失われること、すなわち「世界観」が失われていくことにつながります。人々の消費生活は、SNSのアルゴリズムで操作された雑多な情報によって、体系だった世界観のない、無秩序で味気のなものになっていってしまうかもしれません。

もうあと数年もすると、卒業論文で雑誌研究をやりたいという学生さんもいなくなってしまうかもしれません。そうならないように、学生さんたちには、少なくとも、過去のある時代までは、人々は雑誌を片手に「世界観」のある消費生活を送っていたのだということ、それはSNSの情報を中心とした消費生活とはまた異なる、それなりに魅力的で豊かな消費生活だったのだ、という事実を伝えていけたらと思います。

小川豊武

現代教養学科ブログリレー -丸山先生- [2020年07月10日(金)]

「エンタメ・ヲタクでいこう!」

 

皆さん、こんにちは。

丸山です。

 

新型コロナウイルスの影響で最も切実なダメージを受けている業界の一つがエンタテインメント業界です。コンサート、ライブ、劇場の公演中止で、その損失は多大なものになっています。

ぴあ総研が5月29日に発表した調査データですと、「新型コロナウイルスによるライブ・エンタテインメント業界へのダメージ」は、2020年2月~2021年1月の1年間の損失額が約6,900億円になるだとうと予測されています。

 

図表:「新型コロナウイルスによるライブ・エンタテインメント業界へのダメージについて」

出所:ぴあ総研調べ(2020年5月29日)

日本政府は、2000年代の初頭からコンテンツ産業に注目するようになっています。2003年には知財戦略本部を置き、経済産業省や文化庁など関係する省庁とともに、コンテンツなどの知的財産の政策に力を入れ始め、国内重視・産業振興策から、海外展開・ネット展開重視へと転換をしてきています。

これが、「クール・ジャパン戦略」です!

海外市場は、2012年から5年間で26%拡大し、アニメは3.6倍、映画は4.3倍、放送は4.3倍にも拡大しています。

しかし、この新型コロナウイルスの影響で、この市場も先行きが不透明になってきました。

そこで、課題となるのが、ネットでの展開です。ネット配信は、数年前から世界的に拡大していますが、日本では、マンガが40%、アニメ15%、音楽8%、動画4%と分野によりネット展開の市場比率に差がある状況です。特に、音楽は世界市場が拡大しその売上の8割がストリーミングであることに対して、日本市場は逆に、まだ8割がCDやDVDなどのパッケージ商品です。

その状況下の中で、「with コロナ」の中における、新たな動向が生まれてきています。

この6月24日には、アミューズのサザンオールスターズが、横浜アリーナで無観客配信ライブを実施し、18万人がアクセスし、売上6億5,000万円!という画期的なライブを開催しました。もちろん、私も、ネットから参戦いたしました!(笑)。感動的な素晴らしいライブでした。

また、ジャニーズ事務所は、新型コロナウイルス感染予防活動『Smile Up ! Project』の一環として、ジャニーズネットオンラインにて『Johney’s World Happy LIVE with YOU』を有料配信し、SNSでも所属タレントによる手洗い動画などを配信、医療従事者に向けて防護服や医療用マスクと抗菌マスクの寄付なども実施しています。

さらに、EXILEや三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEなどが所属するLDHと、ABEMAを運営するサイバーエージェントは、新しいデジタルコミュニケーションサービス「CL」の展開を、6月15日より開始しました。

これらは、すべて「ピンチをチャンスに変える!」活動です。

今後、ネットワーク上で、これらデジタルコンテンツと他分野とのマッチングが多く進むと考えています。ファッション、食、観光その他の産業との連携により、相乗効果を発揮する戦略が重要となってきています。

例えば、ポケモンの売上10兆円のうち、6兆円以上がキャラクター商品ビジネスです。このようなキャラクターパワーを活かしたライセンスビジネスによる他の産業とのコラボレーション展開も推進されていくでしょう。

中山淳雄著の「オタク経済圏創世記」によれば、アニメ制作の売上は2,444億円で、その後の権利ビジネスは2.1兆円と約 10倍に拡大しています。これらは、コンテンツの「ウィンドウ戦略」といいます。ウィンドウ戦略とは、1つのコンテンツを複数のメディアで展開する戦略のことです。

アニメは、聖地巡礼で「コンテンツツーリズム」という新たな展開を生み出しています。さらに、2次元のコンテンツと3次元のライブ、バーチャルとリアルを組み合わせた、いわゆる2.5次元の世界も注目がされています。

エンタテインメント業界も、このようにパラダイムシフトに成功する企業などは、新たな価値を創りだし、成長カーブを描くことができるでしょう。

その新たな動向を支えるのが、世界中の「エンタメ・ヲタク」たちです!(笑)

「エンタメ・ヲタク」の皆さまへ。私もその一員として、新たなエンタメ企画とそのコンテンツ発信に期待でワクワクしながら、新しい時代をご一緒に研究し、創っていきましょう!

いまだからこそできる新しいことを創ること、それが、私たちのミッションです(笑)。

現代教養学科ブログリレー―初めての粕谷ゼミ読書会<Part2>― [2020年07月03日(金)]

皆さん、こんにちは。粕谷ゼミ3年Y.Y.とY.A.です。

紫陽花や桔梗の色が美しいですね。

さて、昨日の続き、ゼミでの読書会<Part2>をお届けします。ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社、2019)を読んだ感想のご紹介です。

 

 

【みんなの感想】 (特に面白い・関心を持った箇所をボールドにしています)

 

R.G.

作品の最後辺りで息子が、前は「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」だったが、今はどちらかというとブルーではなく、「未熟」や「経験が足りない」という意味を持つ「グリーン」だと言っていた。このことから、作中で息子が多様性を見て理解してきたことや、自分を客観視しているところから、息子の成長を感じたところが印象に残っている。

この作品を通して、日本では本書ほど、「多様性」を感じる場面が多くはないと感じてしまうので、こういった本から多様性を含む色んなことを学んで、自分の視野を広げることは大切だと改めて思った。

また、私たちが社会の本質にはまだ触れていない、アルバイトを通じて社会経験を蓄積しているだけであると考えると、社会人から見たら我々大学生は「グリーン」であるのだろう。

社会人へステップアップできるよう、大学生のうちに多くのことを学び経験していきたいと思った。

 

M.D.

私が以前受講した講義で、「外国人労働者の増加によって今後の日本に多様性が生まれると予想されている。その際に起きる問題への向き合い方や対処方法を考えなさい。」という課題がありました。この問いに対し、私は、義務教育段階の幼いうちに外国の文化や宗教を学習したり、近隣のインターナショナルスクールの児童と交流したりすれば良いのではないかと考えました。しかし、本書を読んで、幼い頃から多様性のある環境にいたり、多様性に関する教育を受けたりしていれば、多様性を受け入れることができるという単純な話ではないのだということを感じました。

 

K.O.

この本は社会問題の根本を考えるきっかけになりました。本書の中で中学生の主人公が「なぜややこしい多様性があるほうがいいの?」と問うシーンがあります。現代教養学科では社会問題について授業で触れる機会が多いため、もちろん多様性が大切であると学びます。しかし、それがどうして必要なのかということについて深く考えたことは無かったように思います。主人公の「どうして?」「なぜ?」といった何気ないひとつひとつの問いかけがとても興味深く、現代社会の課題を常に考える大切さを再確認できました。人種やジェンダー、貧富の差など取り上げるテーマは難しく思えますが、読みやすい文章様式なので気軽に読み進めることが出来ました。

 

M.O.

本書を読んで、知らなかった世界の差別や社会問題について知ることができました。筆者の息子がすごく賢いという印象を受けました。アイデンティティや人種差別の問題について自ら学び、理解を深めようとしていました。また、日本とイギリスの性教育の違いに驚きました。この本を読むと、日本の性教育はだいぶ遅れているのではないかと感じます。元底辺中学校ほどではなくとも、日本でも避妊の大切さや月経などについてはもっと取り扱うべきだと思いました。

エンパシーとシンパシーの違いも興味深かったです。他人の靴を履いてみること、他人の立場になって考えてみて多様性を受け入れていくことが大切だと思いました。

とても面白い本だったので、友達にも勧めてみます。

 

S.A.

私はこの本を読んで一番印象深かったのがエンパシーとシンパシーの話です。特にエンパシーに関しては、この物語の拠点でもあるイギリスだからこそ考えられ人種問題を中心としていたこともあり、日本の現状と比較して考えました。日本はイギリスやほかの国と比べて島国であり多くの国民が日本というアイデンティティを中心として生きているのではないのではと思うと、必然的に他の国や人種に関して興味や関心が薄れがちなのではないかと考えました。このことは人種的な違いに関するエンパシーの働きが少なく弱いのではないかと推測します。私がここまで生きてきた中でも他者を否定し排除する傾向というものを強く感じる場面は実際多く、また人種的な問題に関してもその傾向に伴い、いじめなどにつながるケースも少なくありません。この本を読んで息子がティムに制服を渡すシーンや制服販売に際何気ない一言などからもわかるエンパシーの大切さを感じ、今の日本に一番大切な要素であると思いました。

 

M.K.

「『ハーフ』とか『ダブル』とか、半分にしたり2倍にしたりしたら、どちらにしてもみんなと違うものになってしまうでしょ。」という息子の言葉に感銘を受けた。これまで何事もないように、『ハーフ』という言葉を使っていた。しかしよく考えてみると、これも両親ともにルーツが同じである人を前提として、それを1として考えていることに違和感を持った。親がどちらもルーツが同じの1である必要も、親の片方が他の国にルーツを持つ人を半分や2倍にする必要もない。そう考えると息子の言葉にあった、半分と半分を足したらみんなと同じ「1」になるという考え方である『ハーフ・アンド・ハーフ』が非常にきれいな表現だなと思った。

 

以上、初めて粕谷ゼミでZoomを用いた読書会の様子と、今話題の本『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読んだゼミメンバーの意見・感想をご紹介しました。

本書は、イギリスに住む一人の少年を中心に物語が進行しており、イギリスの教育制度や格差、多様性について、章ごとに分かりやすくまとめられています。

ゼミ内で出た意見の多くは日本とイギリスの違いに驚き、カルチャーショックを受けたという感想でした。成熟した文化を持つと思われるイギリスでも、階級、差別、いじめなどの問題は存在し続けており、多様性の難しさを示していました。この本を読んで、イギリスについて初めて知ることも多く、私たち自身を色に例えると、本書に書かれているように、まだ未熟な「グリーン」であると感じさせられました。

Zoomでは、学生同士自由に話すことや顔を見られる恥ずかしさからみんなビデオをオフにしてしまうので寂しいと感じました。このコロナウイルス流行が落ち着いたら、改めて皆でリアルに会って、ゼミ内で話し合いたいと思いました。

 

硬い文章になってしまったので、最後に我が家の愛猫を載せます。

 

 

(粕谷ゼミ3年メンバー)

現代教養学科ブログリレー―初めての粕谷ゼミ読書会<Part1>― [2020年07月02日(木)]

皆さん、こんにちは。粕谷ゼミ3年Y.Y.とY.A.です。

7月に入り、気温の高い日が徐々に多くなってきました。

前期授業も終盤に差し掛かりました。そろそろ最終課題を着々と進めていきたいです。

 

さて、先日粕谷ゼミでは、恒例の読書会を行いました。

この読書会では、事前に一人一冊以上本を推薦・投票をし、全員で同じ本を読みます。

私たち3年生にとっては初の読書会でしたが、互いの意見を交換し合いとても有意義な会となりました。

今回読んだ本は、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社、2019)です。本屋大賞2019ではノンフィクション本大賞に選ばれています。以前、シム先生もこの学科ブログで紹介されていました。

アイルランド人の夫と息子とともにイギリスで暮らす著者が、中学生の息子の学校生活を中心にその日常をありのまま描いた一冊です。

息子のまっすぐな言動が本質を突いていて、思わずドキリとさせられます。

主な舞台はイギリスですが、日本の社会や私たちの生活にも新たな視点を与えてくれます。

 

 

 

以下、学生の感想・意見をご紹介します。

【みんなの感想】 (特に面白い・関心を持った箇所をボールドにしました)

 

E.T.

良くも悪しくもイギリスの成熟した社会を描いている作品だと思う。日本社会と違った人間関係が展開され、それぞれが自分らしく、淡々と生きている。日本人は人と同じでないことが不安であるという世界に生きている。この違いを軽いタッチで描いているのが日本人の興味を誘ったのではないだろうか。

 

Y.A.

第7章「ユニフォームブギ」内の、「君は僕の友だちだから」というテーマが印象に残った。制服のリサイクルを行っている主人公たちが、貧しい環境にいるティムを傷つけずに制服を渡す方法を思案する。この場面から、傷つけずに手助けすることの難しさを感じた。優しくしたいという気持ちがあっても、方法を間違えると逆に傷つけてしまうかもしれない。

また、第5章「誰かの靴を履いてみること」もかかわっていると感じた。自分の感情だけで動くのではなく相手の立場になって考えることが、優しさを自己満足にしないために必要なプロセスだと思う。

「どうして僕にくれるの?」とティムに問われた息子の答えが、とてもシンプルで心に響いた。何か手助けをするとき、無意識に相手を下に見ていることがある。しかし、本当は誰もが対等な立場で、お互いに手を差し伸べ合うべきだと感じた。「君は僕の友だちだから」という答えにつまった純粋な優しさに感動した。

 

R.M.

この本を読んで、英国と日本は文化や教育、生活環境がこんなにも異なるのかと驚いた。人それぞれであると思うが、私だったら日本よりもリスクがあって多くの課題が存在する英国で中学生の子どもと生活しようとは思わないし、思春期の子どもが向き合うにはあまりにも過酷な出来事ばかりである。もっと安全な国で生活をしたいと思う人が多いのではないだろうか。

この本を読んで特に私が印象に残ったシーンは、FGM(女性性器切除)についてである。英国の性教育の進歩と日本の性教育不足を改めて感じたが、ここまで深く教育する必要はあるのかと少し疑問に思った。しかし、大切なことではあるし、FGMの対象が中学生であるからこそ、どういったものか簡単に知っておく必要はあると考える。

グローバル化が進む現在、生活している中で「多様性」という言葉をよく耳にする。本書でも書かれていた通り、「多様性は物事をややこしくするし、喧嘩や衝突が絶えないもの」であるからこそ、互いに尊重しあいながら生きていくことが重要であると感じた。

 

M.A.

エンパシーとはなにかについて自分で「誰かの靴を履いてみること」だと息子が言った部分が印象的だった。自分とは違うから、わからないからこそその人の立場になって考えたり想像することの大切さと難しさについて考えさせられた。

イギリスで子供の時にこのことを習っても差別をしてしまうことからただ習うだけではだめで、でも経験してないことを分かり合うのも難しい。日本でもSNSの誹謗中傷があったり、世界的に見ても人種差別やジェンダーの偏見がまだある世の中である。多様性に関して書いてある部分での喧嘩や衝突が絶えないのも、相手の立場に立って考えることができてないからではないか。想像力を働かせ、色々な価値観や考え方があって当たり前でそれを受け入れられるような世の中になれば生きやすくなる人がもっと増えるのではないかと思った。

 

M.M.

多様性だらけの今の世界が抱えている社会問題をぎゅっと詰め込んで、その一つ一つの問題について考えさせられる一冊でした。政治問題、経済的格差、LGBTQ、貧困、人種差別、偏見、宗教の違い、アイデンティティ、英国の現状、世界情勢、教育事情、階級社会。本を読み終えた頃には、この筆者であるお母さんの息子さんと共に成長できたような気がしたのと、本の帯に書いてある通りまさに「一生モノの課題図書」だと思いました。16章から構成される日記のように書かれたこのお話はどの章も印象的でしたが、タイトルの「ぼくはイエローで、ホワイトで、ちょっとブルー」の意味が最後に納得できる形で読み終えられるところに強い魅力を感じました。様々な社会問題があるこの世界で広い視野と深い洞察力を持って生きていきたいです。

 

Y.K.

私が最も印象に残った場面は、6章のプールサイドのあちら側とこちら側だ。作者の息子が参加した中学校対抗の水泳大会の仕組みに非常に驚いたからだ。そこには日本で育った私達には予想すらつかないイギリスの階級社会が露わに存在していたのである。その大会は私立の中学校と公立の中学校、2つの学校が同じ1つのプールで競技を行う。しかし、公立の中学校はぎゅうぎゅうで押しつぶされそうな中ストレッチをし、反対側のプールサイドではゆったりとしたスペースを確保した私立の中学校の生徒たちがのびのびとストレッチをする。それだけではない。公立と私立では競技も別々なのである。両者は徹底して分けられている。そしてそれに疑問を抱く者さえいない。まさに水泳大会は英国社会の現実の縮図だ。日本ではここまで格差が露呈することは少ない。序盤から私はあることに気づいた。それは親の教育への関心が非常に高いことだ。イギリスの中学校はランキングさえ存在する。そのため小学校選びも重視され、その関係で引っ越す人も少なくない。ここまで親が必死になるのも、こうした過酷な階級社会で生きていく上で考えざるを得ないのだろうと思った。私が中学生のとき体験した水泳大会とは全く異なる世界が存在したことに、大きな衝撃を覚えた。日本の貧困層にある子供たちは、必死にその事実を隠すと思うが、イギリスでは隠す余裕すらない子ども達が多く存在することをこの本を通じて分かった。ティムのような生徒が少なからず存在する。それが現実だった。この本は筆者が体験した日常的な出来事から、社会問題や道徳、独自の哲学まで非常に分かりやすい形で読者に伝えてくれている。違う世界を覗いた上で私達はこれからどのような未来を築いていくべきなのかを考えていきたい。

 

【みんなの感想】は、<Part2 >へと続きます。

(粕谷ゼミ3年メンバー)

現代教養学科ブログ   -志摩先生- [2020年06月30日(火)]

オンラインの活用~1期生オンラインミニ同窓会

 

現代教養学科 教員の志摩です。

6月上旬に一期生の半数以上と繋がっているLineに、EU Film Days 2020が今年はオンラインの上映となっているので、鑑賞しやすいのではと思い、情報を提供してみた。EU Film Daysは、毎年この時期に開催されているEU加盟国の各大使館からお薦めの映画が紹介され、近年は、国立近代フィルムセンターで上映されてきたものである。

現代教養学科の一期生は、ちいさなお子さんの子育て真っ最中が多い年代で、オンラインで珍しい映画も楽しめるのではないかと思った次第だった。

そこから、反応は次々届いた。「本学のキャリア支援のメンターのお手伝いができることになりました」、「オンライン授業ができるなら、地方にいる子育て中の私でも、オンラインでみんなに会えるかもしれない」、「日程を調整しよう」など、盛り上がり、あれよあれよと1週間ほどで、一期生お試しオンライン同窓会の開催となったのが、27日(土)夜、時間は20時から22時半を設定してみた。自由に出入りできるように。

一期生は、50名の定員で、彼女たちの4年次のクラスアドバイザーが私であった。最後に卒業式の後、みんなが歌をサプライズで歌ってくれたのは、遠い思い出となっていた。急遽開催したミニ同窓会ではあったが、懐かしく、変わらない元気な顔がつぎつぎと登場、子どもも一緒に登場の人も。話しっぷりも変わらず、元気な人も落ち着いた人も変わらず。オーストラリアから、シンガポールから、愛知県から、静岡県から、奈良県からと関東以外の参加者が多くて、オンラインの威力を見せつけられたひと時であった。

にぎやかな中で、みんな、それぞれ頑張っているのだなあと、「オーストラリアから参加のKさんは、会計士の資格を取ったとか、メルボルンまで1時間くらいだけど、州をまたいで移動できないので、日本に帰国予定だったけど延期になってしまった」、「静岡のEさんは、起業するために看護師の資格が必要だから、春から看護学校に入って、オンライン授業なんです」と。「銀行務めと子育て真っ最中のMさんは、相変わらず元気いっぱい」、画面に登場してくる子供たちは、そっくりさんが次々と、みんな大きな声で語り合い、外出自粛話や子育て、果ては「幼稚園は昭和に入れたいわ」、昔の話も出て、あれこれ賑やか!「まだ仕事が終わらない、今頃参加しているはずだったのに」、「次回は絶対参加する」「台湾にいるけど、次回は参加できると思う」など、次々とLineに連絡が入ってくるなんて、嬉しい。途中に写真を送ると、また、「時間内に参加が間に合ったら行きます」、「次回、行きます」など。全部で13名くらいの2割以上の出席率だけど、確かなことはわからない。

なぜなら、私は、当日朝から夕方まで、卒業論文のオンライン中間発表会でくたくた、途中で退出となったからである。次回は参加の予約がたくさん入っているので、また、共同開催企画者となることは決定です。今回、参加を逃した人も、待っていますと、一期生に呼び掛けたい。次とは、いつでしょうか?

 

現代教養学科 志摩