冷泉為人先生による特別講義

<日文便り>

日文開設科目「メディア論」にて、本学客員教授・冷泉為人先生による特別講義が行われました。
和歌の家元として、古典籍を今に受け継いでいらっしゃる冷泉先生から直接、
京都・そして冷泉家の歴史と文化についてお話しいただきました。
緊急事態宣言下ということでzoomでの開催となりましたが、
先生から紡がれる言葉の一つ一つが、圧倒的な実感をもって伝わってきます。
歴史とは、伝統とは。
それらが単なる事実としてではなく、情(こころ)を通して実感できる時間でした。
歴史とは事実の羅列ではない、それをどう受け止めるか、どう考えるか。
それこそが研究、と冷泉先生。
学生たちにとっても、単に知識を得るのではなく、聴いている瞬間ごとに発見し、
そこから心を動かし、考え始める、そんな機会になったようです。

 

以下、講義を受けた学生達の感想です。
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■欲しい情報をすぐに検索できるような時代になり、
知識や教養を自分から能動的に得ようとする人が減ってしまっている。
今回の授業を通して、冷泉為人先生自身から京都のこと、
冷泉家のことを聞けたことは、検索して情報を得るのとは違った意義があったと感じた。

■とても貴重な機会を頂いたことに喜びを感じると共に、
文学的にも日常の生活的にも改めて考えるべきことが見つけられたような気がしました。

■『古今和歌集』仮名序と夏目漱石の『草枕』が同じことを言っているのではないかというお話が印象的でした。
読んでそれに気づいた時は嬉しかったと仰っていて、
私も何かを読んだ時にそれまでの知識とつなげて新たな発見をし、
「嬉しい」と感じるようになりたいと思いました。

■今回のお話を聞いて、人が古典や伝承を大事に受け継いで研究し文化としてきたことの意味が、
単に昔のことを知りたいからということではないということが理解できました。
そして、実際に歴史と文化を守り継いできたからこそ、
その大切さをさらに次の世代へ伝えていくことができるのだと思いました。
また、このような状況だからこそ自分がどのような人と関わり、
どのように人に影響を及ぼすのかについて考えなければならないと感じました。
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(須永哲矢)