2012年1月

生活がブームになる!? [2012年01月31日(火)]

今日は一つの史料を紹介して、研究の話をしようかなと思います。ネタ本は、1959年に発行された鹿児島県婦人連絡協議会・鹿児島県教育委員会『私たちのグループ活動――県婦人会グループ活動研究会発表要項』です。山形県のとあるお宅に史料調査に参りました時に偶然であったパンフレットです。

まずはそのパンフレットから抜粋した下の図を見て下さい。

左中央に「井」と書いてあるのは「井戸」を表しており、この図は「住宅」「畜舎」「風呂」といった水を用いるところから「井戸」までの距離と歩いてかかる時間を表した図です。そして井戸は深さ20mがあり、ツルベで1回組み上げるのに45秒かかることも分かりますね。

そしてその右には以下のような表がありました。











これらの図表を2枚あわせることで5人家族で家畜を1頭飼育していた場合の、水汲みに要する距離と時間と労力との関係が分かるようになっています。つまり標準的な家庭では一日のうち1時間10分が水汲みに費やされていたことが分かります。この資料は鹿児島県国分市(現・霧島市)の塚脇部落のに住んでいたとある婦人会が作りました。この部落の戸数は80戸あり、その中の73名の女性が婦人会員として活動していたのですが、その活動の一環として、この部落で水汲みでどれだけの時間が「ムダ」にされているのかを明らかにしてみようとして計算したのが上記の図表なわけです。

こんな表を持ち出して、松田は「今はそういう時間が必要ではなくなったのだから、時間を大切にしなさい」なんてお説教したいのか?「昔の人の苦労を見習え」といいたいのか?う~ん、まぁ、それも大事ですし、そういう風に史料を読む読み方もあるとは思うのですが、ここでいいたいのはそういうことではありません。

井戸汲みなんて、井戸が作られて以来、やり続けてきた仕事ですよね?それなのになぜ急にこんな表を作ろうと思ったのか不思議に思いませんか?毎日毎日の生活を「アタリマエ」にこなしているだけではこんな表を作ろうという発想自体が湧いてこないように思います。昨日と同じ一日を今日も過ごし、今日と同じ一日が明日もやってくる。むしろそれが普通だと思うのです。

「私たちはどういう仕組みで『生きて』いるのだろう、どうやって『生活して』いるのだろう」とみんなが不思議に思いはじめて、はじめて水汲みといった「生活」のあり方を観察してみて、「生活」を「科学」的に計測してみようとする意識が芽生えてくるのだと考えられます。そしてその上に「だからみんなで水道を引こう」というような発想が生まれてくるのではないでしょうか。

日本史学ではそういう意識が芽生える時代のことを生活改善運動の時代といいます。おおむね太平洋戦争の時期をど真ん中に含む50年くらいの時期が生活改善運動の時代だといわれています。たまたま今回は鹿児島県の婦人会の史料を紹介しましたが、別に珍しい史料だから紹介したわけでもなんでもありません。むしろ1920年代~60年代頃には生活を見つめ直して改善を目指すこうした運動というのは、全国津々浦々どこにでもありふれて存在していて、一大ブームとなっていたのです。

なぜある時代に生活を見つめるこうした視線が生まれてくるのかという問いは私が大事にしている問いの一つです。

不思議だなぁ~。

以上、日本近現代史担当の松田忍がお伝えいたしました。

学内で発見 [2012年01月28日(土)]

こんにちは、今日は学内で見ることが出来る一寸した事を話しましょうか。
まず、桜の花には誰でも気が付くと思いますが、正門入ってしばらくの歩道脇に、春、シャガという白い花を付けた草がたくさん。そのまま進むと秋に色づく柿の木が角にあって、道を渡って直ぐの目の前には椎の木、秋には椎の実を落とします。これは渋くないのでそのまま食べることができます。左斜め前方には、先哲慰霊の上に鬱そうとヒマラヤスギ、3号館の前にもクリスマス飾りを付けるヒマラヤスギ。これは、シダーローズと呼ばれるバラの花の形の種の集合を落とすことがあります。茶色の花が集まってバラの花の様ですよ。その根元にはスズランが咲く道祖神があります。さて、その先三号館角にはタイサンボクの白い大きな花を見ることが出来ます。本部館の前にはボタンやしだれ桜、タチアオイなど。突き当たり研究館の前を左にはいると、昭和の泉の池。錦コイがたくさん。今は寒い冬なので、草陰や岸の近くで頭を寄せ合ってじっとしている様子を見ることが出来ます。今年の冬は氷ができやすい寒さなので、池に水を吹きだしている場所では、水面上にかぶせている金網に、しぶきが凍り付いて、細いツララがいっぱい下がり、シャンデリアの様です。まあ美しいこと。
その先には、ワンガリーマータイ女史お手植えの木が(あ!ど忘れで名前が出てこない)季節になると真っ赤まん丸の実を付けます。甘酢パイ。
などなど、入学前にも遊びくれば、いろいろ面白い物を見ることが出来ます。見える人には。見える人になりましょう。増田

文楽鑑賞教室 [2012年01月26日(木)]

こんにちは! 歴文1年の根本です。
11月13日に大谷津先生、大学院の先輩、日本芸能史ゼミの三年生の先輩方、一年生有志で
国立劇場の文楽鑑賞教室に行きました。演目は近松門左衛門の『曽根崎心中』です。

内容はとても面白く、ちょうど前日まであった学寮の疲れを癒すかのような楽しい観劇となりました(^^)
鑑賞教室なのでまず最初に、義太夫節や人形の操り方になどについて説明してもらいます。
人形のお芝居なので、「動くとどうなるのかな。市松人形みたいにやっぱこわいのかな…」と内心びびっていましたが、そんなことはなく、巧みな人形さばきで人形がすごくイキイキと動くので、むしろ人間にしか見えませんでした!

説明が終わると、演目に入ります。曽根崎心中のあらすじは「若い二人が曽根崎で心中する」という本当に
シンプルなものです。それに至るまでの二人の心理や、二人をとりまく周りの人間たちの人間模様が見どころなのですが、、、
私は人間ではなくむしろ感情を持たない人形が演じることで、かえって人間臭さを上手く表現しているように思いました。
人間が演じると、役にどうしても解釈を加えて演じますが、人形はそれができません。それがないぶん、
人間の汚い部分や人間の本質が人間が演じるより克明に表現されています。
若い二人がじわじわと居場所をなくされ、どんどん追い詰められていく様がとってもリアルです、、、
人間より人間らしさを演じる人形、、、少し不思議だけれど、面白いなと思いました。

文楽は脚本に忠実に話が進むので、近松門左衛門がこの物語を通して、なにが言いたかったのかも明確にわかります。
若い二人が心中してしまう根本的な理由は身分が違い、愛を添い遂げられなかったからです。
彼氏が町人、彼女が遊女という身分差のせいで心中することでしか結ばれることができず、近松はこれを肯定的に描いています。
そうなのです、曽根崎心中はただ単に二人の悲恋を描いているだけではなく、軽く江戸時代当時の封建制度も批判しているのです、、、! 恋愛からの視点で世間に斬りこむ社会派ドラマだったんですね、、、当時としてはなかなかの問題作です。
あらすじ自体はとてもシンプルなのに投げかけるテーマはとても大きい、、、ドラマだったら容易く高視聴率がとれそうです。
曽根崎心中のロングヒットの理由は、近松による脚本の完璧な構成力にあるのだなと強く思いました。
三谷幸喜や宮藤官九郎などの現代の脚本家の書くドラマもいいけれど、近松門左衛門にはかなわないです! やっぱり、、、

他にも生活観、宗教観、そして死生観の現代との違いに驚いたり、登場人物の突発的な行動に
翻弄されたり(文楽や歌舞伎に登場する人間は大抵が全力で人生を生きています、、、その熱さから
いきなりの不可解な行動をとりがちなのです、、、)なにかと勉強になる観劇でした。

これをきっかけに、これからも文楽を観続けていこうと思いました♥!

ちょう博多ラーメン [2012年01月24日(火)]

ラーメンは3日続く
これは私の格言です。もう一つは、「カレーは3日続く」です。どうもラーメンとカレーは久しぶりに食べると続く傾向がありますね。
おとといの日曜日の夜、博多駅前のホテルについて食事に出ました。
博多ですから当然、博多ラーメンでしょう。ところがホテルのある近所は大きなビルばかりでラーメン専門店の影が見えません。うろうろしたら駅のそばに有ったのですが、本日は臨時休業。やむなく近くを歩いていた人に聞きましたら、ヨドバシカメラのビルの中の飲食店街にあると教えてくれました。どの種類にしますかと店の人に聞かれ、典型的な博多ラーメンをお願いします、と注文。白濁して塩がつよいあじも濃いスープに細麺、焼き豚2枚とネギがたくさん。それに黒い昆布の細切りのような物。(これはキクラゲでした。店の人に聞きました。)味が濃すぎてあまり飲めないけど、まあまあ満足。
次の月曜日は八女の和紙工房で手漉き作業を見せて頂き、お昼はうどん。夕方になったので、久留米ラーメンの美味しいところで、ラーメン。実は白いトンコツスープの発祥は久留米とのこと、紙漉きさんは是非久留米ラーメンを味わって帰って下さいと頼まれたので、2日続けてラーメンになったのですが、実は日曜日の昼飯は家の近所のラーメン屋でラーメンだったのです。ですから、「ラーメンは3日続く」との格言通りだったわけです。これは、格言ですよ、ジンクスではありません。
大学の食堂でカレーを食べると、その日の夕食がカレーになる確率も極めて高い。というお話し。八女は手漉き和紙の産地で現在7軒の工房があります。1軒の方は80歳でしたが、お元気で、美味しい日本酒を進められました。丈夫な楮紙を造ります。八女茶も有名ですね。

「弥生時代のかながわ」展開催中! [2012年01月23日(月)]

みなさん、こんにちはcatface

歴史文化学科では、学外からも先生(非常勤講師)を招いて授業を行っているので、学内にいながら日々様々な情報をキャッチすることが出来ますflair

例えば、実験考古学を担当されている御堂島先生からは、神奈川県立歴史博物館で行われている「弥生時代のかながわ」展についてご紹介頂きましたheart04

お近くにお住まいの方は是非足を運んでみて下さいwink

http://ch.kanagawa-museum.jp/tenji/maibun/toppage/top_html/2011yayoi_top.html

ホームページを覗くだけでも楽しいですよeyeup

ヌルヌル [2012年01月21日(土)]

こんにちは
今日の話しは、ベタベタの話し。いえヌルヌルの話しです。
先ほど、昭和の泉の脇で育てていた、トロロアオイの根を収穫してきました。
トロロアオイは和紙を漉く工房にとってとても大事な植物です。
家庭用の風呂より小さな水槽に水をたっぷり、楮センイも入れて良くかき混ぜます。
センイ同士が集まってしまって、いわゆるダマ状態にならないように。
でも、センイ同士は仲良しなのでどうしても集まりやすい。ダマダマのまま紙漉きを
すると、出来上がりが凸凹の多い紙になってしまいます。
そこで登場。トロロアオイの根っこ。
根っこを槌などでつぶして水に漬けておくと、ヌルヌルの液が出てきます。
そのヌルヌルを水槽に入れて良きかき混ぜると、センイ同士はつかず離れず、まことに
理想的な友好関係を保ち、ダマにならず、均一に分散して、なおかつ、センイが沈殿する
のが抑制される効果もありなのです。
その状態で枠に挟んだ竹の簾で掬いあげると、水は簾の隙間から流れ落ち、センイだけ
が簾の上に残って、紙となるのです。その時にもトロロアオイの効果が絶大で、ヌルヌル
のお陰で水が流れ落ちる速度が遅くなり、しばらくセンイと水は一緒に簾の上に居てくれ
る。その間、紙漉さんは簾を挟んだ枠を前後に揺すって、センイがきれいに並ぶように
し向けます。ですから、和紙を日に透かしてみるときれいなのですよ。

このヌルヌルが、ベタベタやニチャニチャの糊と違うのは、やがて自身が分解されて、
漉き上げた紙を重ねて置く間に効力を失い、脱水乾燥する際には、紙同士を貼り付かせ
るようなことはしないのです。出番と退出のタイミングをわきまえた名補助役なのです。

花はきれいな黄色、大きめのハイビスカスに似ています。実はオクラとうり二つ。漢字では
黄蜀葵と書きます。

画像を入れるのが面倒なので、花に興味がある人は、インターネットでトロロアオイの
キーワードで覗いてみて下さい。増田勝彦

[2012年01月20日(金)]

このブログに書くのも久しぶりです。
相変わらずの和紙の話しです。新潟県の山の中はすでに2メートルの積雪です。
その中でも、紙漉きが行われているのです。畑だった所は一面の雪原。3月になって晴れ間が
あると、その上に楮の皮を引き並べて、お天道様と雪の湿気による雪晒しが行われます。
白くなった楮の皮で白い紙を漉きます。11月末に伺ったときは、念願の紙ではなく、お酒のビンに
貼るラベル用の紙を漉いていました。手漉きの紙でラベルとは贅沢な!!高級酒で知られたお酒
ですから可能なのですね。でも和紙工房にとっては有り難い注文です。とてもじゃないけど忙しい
時に伺ってしまったのでした。だから今度は2月か3月に再度伺うつもりです。

さむいだろうなーーーー。歴史文化学科、増田勝彦

旅のおススメ [2012年01月19日(木)]

地理を中心に担当している田畑久夫です。
今回は旅のおススメです。近年若者を中心に旅に出かけることが嫌われる傾向があります。
旅に出れば日常での生活では体験することの出来ない、新しい世界が広がります。
旅は楽しいものです。まず身近な所から探索の旅に出て下さい。旅が好きになれば地理が好きになります。

そこで問題です。正解が分かる人は、旅の好きな人です。

Q1、世界で一番大きな島はグリーンランドですが、第2位の大きい島はどこ?

Q2、どうして日本の国土面積は年々増えているのですか?

Q3、琵琶湖でとれる魚を素材にした寿司とは?

伝統工芸品の材料 [2012年01月11日(水)]

 

 これはなんでしょう?頁岩という岩石です。これを細かく砕き、ミクロン単位の泥状にしたものを乾燥したのが「砥の粉」です。京都の山科が産地で、以前はレコードの原料にもなり、大量に生産されていたそうです。

 私が中学生の時は、技術家庭の時間の「本立て作り」に、塗料を塗る前に滑らかにする目止め材として使いました。

 日本を代表する伝統工芸品である漆器の製作にも、下地材等として使います。漆器の原材料を求めて、数年前に山科の砥の粉製造工場見学に行ってきましたが、生産に携わっているのは数軒のみになってしまったとのこと。

 

 祖先から引き継がれてきた伝統工芸品を守ることは、このような原料やその製造方法、そして道具作り等も継承していく必要があります。歴史文化学科では日本文化・歴史を、歴史学、考古学、民俗学、地理学、文化財学等多方面から追及します。

春日若宮おん祭 [2012年01月11日(水)]

はじめまして!修士一年の萩原です。

今回は研究の調査のために見に行きました、春日若宮おん祭の様子をご紹介致しますhappy01

この春日若宮おん祭は、奈良県の春日大社の摂社、若宮神社のお祭りで、平安時代から続いています。現在は重要無形民俗文化財に指定されています。
12月15日から18日に行われ、私は17・18日に行ってきました!
17日はお渡り式とお旅所祭を見ましたshine
お渡り式は午後12時からで、行列は興福寺前から出発し、JR奈良駅付近で折り返し、三条通りから一の鳥居を抜けて、お旅所まで歩いてきます。

朝一に奈良へ向かったので、お渡り式の前に15日に大宿所祭が行われた大宿所を見ました。

左は大宿所祭の時の懸鳥です。見に行った時にはもう供物はありませんでした。
右はお渡り式に参加する人たちが準備をしていたところです。鮮やかな甲冑が素敵ですね~shine

その後、お渡り式の出発の前に待機している所と出発を見送り、一の鳥居を抜けたところで行列を待ちました。

まずは、出発前の写真です。

次に、一の鳥居を抜けた後の写真です。

左は日使、右は巫女です。
写真で見ると馬に乗っている姿は格好が良いのですが、実際は馬が興奮していて落ち着かせるのが大変そうでしたcoldsweats02
また、「影向の松」の前を通過する際に、陪従・細男・猿楽・田楽などは舞や芸能の一節などを演じてからでないと、お旅所に入れないことになっています。
この写真は田楽が演じているところです。

私はお旅所祭を良い場所で見るために移動してしまったので見ていませんが、流鏑馬や競馬も行っています。

お旅所祭は午後2時半から午後11時近くまで行われ、巫女による神楽や東遊、舞楽などが舞われます。

巫女の神楽は柵の外からだったので、腕を伸ばしてなんとか写真を撮ることができましたが、自分の目では人の頭でほとんど見えませんでしたsad

神楽が終わった後にお旅所の中で見ることができました。写真左は細男、右が神楽式です。

この日はとても寒い日でした bearing大谷津先生と御一緒していたのですが、私はあまりの寒さに耐えられず、午後8時ごろにリタイアしてしまいました…。
自分の研究に使う写真などは撮れていたのですが、やっぱり舞楽の仮面舞が見たかった!泣
大谷津先生は神様がお帰りになるまで見ていたそうで、後で映像を見せていただきました。お旅所祭で舞われた舞いを最初から最後までビデオに収められたそうです。貴重な映像ですね!

翌日は私一人で奉納相撲を見たり、

奈良博でおん祭の特別展示を見たり、

おん祭に関係のある所を回ってきました。

私は結局この寒さにやられ、後日風邪をひきました…。これからもっと寒くなりますので、皆様も風邪などにはお気をつけください。
以上でおん祭のご報告を終わります。修士一年の萩原でした~。