今年度の心理学科「特殊研究講座」が10月12日(土)に実施されました。
「特殊研究講座」は、学外の先生をお招きして最先端の心理学研究についてお話を伺う機会で、年に1回開催されます。
今回は、鹿児島大学法文学部人文学科の大薗 博記先生をお招きして、「信じること、疑うことと心理学」をテーマにご講演いただきました。

大薗先生は社会心理学がご専門で、特に集団における協力や信頼に関する研究を数多く行われているほか、最近ではマスク着用や陰謀論といった、社会問題に関わる研究にも取り組まれています。そして、手品の腕もプロ顔負けです。
当日は、人が時に「真実ではないこと」を信じてしまうのはなぜなのか、また誤った信念を修正するためにはどうすれば良いのかについて、お話をしてくださいました。ご講演の中で手品も披露していただき、人が何かを簡単に信じてしまうこと、そして疑うということの難しさを、学生たちは身をもって学んでいました。

学生の感想
人は時に、簡単に事実ではないことを信じてしまうということを、改めて実感しました。特に、誤信念を修正するためには、説得的な根拠をピンポイントで提示することが重要であり、一つの誤解を解消したからといって、他の誤解も解決できるわけではないという点が大変興味深かったです。講演を通じて、正しい情報を見極め、健全に疑う姿勢の重要性を再確認するとともに、単に知識を得るだけでなく、批判的に物事を捉える視点を持つことが今後の成長に繋がると感じました。(1年生)
「信じること」「疑うこと」の良い面と悪い面を知ることが出来ました。物事に対して疑う姿勢を持ち、多角的な視点で考え、見極める力を高めていきたいと思いました。また自分とは違う何かを信じる人たちを、ただ線引きするのではなく、信じることと疑うことのバランスをうまく取りながら、共生していけたら良いなと思いました。(2年生)
講義の中で先生がおっしゃった、「人の考えを否定するのではなく、コミュニケーションを取りながら、なぜその人が否定しているのかを考え、受け止めていくことが必要だ」という言葉が印象に残っています。他者の考えに左右されやすいからこそ、自分の信念や考えは曲げずに、客観的な視点を持ちながら、相手の考えを受容していくスキルが重要なのではないかと思いました。相手を信じることや疑うことは決して悪いことではなく、自分の信じたいことを信じ、疑うべきだと思うことは疑うというように、自分の価値観や判断基準を元に行動すること、人と自分は違うのだという認識を持つことが必要なのではないかと思いました。(3年生)
今後も、特殊研究講座を通して、学生のみなさんの心理学への関心をさらに深めてもらう機会を提供したいと思います。
(「特殊研究講座」担当・榊原)
大園先生と榊原先生の共著論文
この度,心理学科の榊原 良太先生の共著論文が学術雑誌『Applied Cognitive Psychology』に掲載されました。 [caption id="attachment_7942" align="aligncenter" w[…]