現代教養学科ブログリレー -常喜先生-

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こんにちは。1Aクラスアドバイザーの常喜 豊です。1年生の皆さんとは、オンラインHRを通じて顔を合わせているだけなので、キャンパスで会える日を楽しみにしています。2年生以上の人たちとも長い間会っていないので、寂しいですね。

さて、私は他の先生のように立派なことは書けないので、自分の専門(生物学)の視点から、現在皆さんが来ることのできない世田谷キャンパスの植物や動物を紹介してみようと思います。何回かに分けて書こうと思っていますが、今回は4月のキャンパスの花々を紹介しましょう。

3月中旬から4月にかけて、キャンパス内ではさまざまな種類の桜が咲きます。写真1、2は、1号館と8号館の間にある「二人の像」の近くに咲く八重桜です。本学ではこの桜が最も遅咲きで、学生たちにも人気がある木です(多くの学生が毎年スマホを向けています)。淡いピンク色の普通の八重桜と異なり、濃いピンク色で、花と同時に葉も多く出て、色の組合せが何となく和菓子の「道明寺」をイメージさせる、と思うのは私だけでしょうか。
同じ桜でも、3月中・下旬のソメイヨシノから始まって、オオシマザクラ、ヤマザクラの仲間、そして八重桜類と、咲いていく時期が微妙にずれていくのを楽しむことができます。咲き始めはうすい緑色で、それが次第にピンク色に変わっていく珍しい八重桜もあります。

写真1
写真2

桜の次は、ツツジの季節です。キャンパス内には、すでにツツジの花が咲き始めていました(写真3)。ツツジにも色々な種類があります。最も早く咲く大きな花はヒラドツツジという種類(写真4)で、赤紫色の「オオムラサキ」という品種が有名ですが、写真のような「アケボノ」、「シロリュウキュウ」などの品種があるそうです(『山渓カラー名鑑 日本の樹木』より)。
ヒラドツツジに続いて、小ぶりの花のキリシマ(別名クルメツツジ)が咲きます(写真5)。5月になると、その名の通りの「サツキ」が咲き始め、学園の庭はさらに華やかになります。

写真3
写真4
写真5

写真6は、人見記念講堂の前に立つトルストイの像です。トルストイは文豪としても名高いですが、本学の教育の原点と言われています(1年生は学生便覧の7ページを読んで下さい)。トルストイの足元を飾る淡い青色の花は、最近有名になったネモフィラです(写真7)。世田谷キャンパスでは、今年初めて植えられましたが、見事に可憐な花を咲かせました。学生の皆さんに実際に見せられないのは実に残念です。
ネモフィラを一躍有名にしたのは茨城県の国営ひたち海浜公園ですが、新型コロナウイルス対策による外出規制の影響で入園禁止となり、園内はひっそりとしているそうです。他にも、観光客を呼ばないために、沖縄のユリの花やハウステンボスのチューリップの花がすべて切り取られるというニュースをテレビで見て、花までがコロナの害を被っていることを知り、悲しかったです。来年の春こそは、誰もが日本中で思い通りに花を楽しめるといいですね。

写真6
写真7

ところで、今、皆さんは外出を制限されて家で窮屈な暮らしをしているわけですが、ちょっとくらいなら家の周りを散歩して、花や野草を楽しむことができます。そのようなとき、花の種類や特長などがわかれば散歩がより楽しくなりますが、最近では手軽に持ち歩けて驚くほどたくさんの情報が詰まっている「ポケット図鑑」が多く出版されています。私のおすすめの1冊として、『散歩の花図鑑507種』(岩槻秀明著、新星出版社、1,200円+税)を紹介しておきます(写真8)。早春2月から次の1月まで、季節を追って色々な花が紹介されており、ためになる情報や類似種との区別点まで書いてあって、部屋で読んでいても楽しい本です。野草や樹木に関しては、写真9に示した『持ち歩き図鑑 身近な野草・雑草』、『持ち歩き図鑑 身近な樹木』(共に菱山忠三郎著、主婦の友社、900円+税)のような本もあります。

写真8
写真9

もっとも最近では、花や草の写真をスマホで撮って送るとすぐに名前の候補を教えてくれるアプリがあるようですが、他力本願で名前を知るよりも、自分で苦労して花や野草の名前をつきとめる方が、よほど教養として意味があると私は思います。あまり遠出のできない今だからこそ、ポケット図鑑を片手に、身のまわりの自然を見つめてはいかがでしょうか。ただし、くれぐれも「密」を避け、マスクをして出かけて下さい。

ちょっと脱線してしまいましたが、次回は5月中旬頃のキャンパスの自然を紹介します。